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テーマ

フルーツ加工品の保存性向上のためのシナモンの利用方法の検討

発表者

宮崎雄太

研究概要

 フルーツ加工品は一般的に酸性で設計されていることが多いため、開封後に真菌が発育する可能性がある。真菌は空中や食器表面など、身近な環境に分布するため、特にジャム、ソース、瓶詰などの消費に時間がかかる製品については、変敗の原因となることがある。近年、消費者の嗜好は低糖度を好む傾向が強く、以前よりもフルーツ加工品で真菌が発育するリスクが高まったと考えられる。フルーツ加工品の開封後の変敗を防止するためには、様々な工夫が求められている。
 本研究は、フルーツ加工品の保存性向上を目的として、家庭環境において身近な真菌に対するシナモンの発育抑制効果について調査した。

 【方法】Penicillium glabrum、Cladosporium cladosporioides、Wickerhamomyces anomalusの菌液をシナモンあるいはシンナムアルデヒドを添加した、フルーツ加工品を想定した培地に表面塗布し、25℃で定期的にコロニー数を計測して発育抑制効果を評価した。また、この試験に用いた培地のシンナムアルデヒドをHPLCで定量し、シンナムアルデヒド濃度と発育抑制効果の関係についても評価した。

 【結果と考察】シナモンあるいはシンナムアルデヒドを添加した培地で培養した結果、全ての菌株において発育抑制効果が認められた。今回の試験では、シンナムアルデヒド8.0μg/g以上の培地では発育の遅延、23.2μg/g以上の培地では発育が認められなかった。以上の結果から、少量のシナモンをフルーツ加工品に添加することで、真菌の発育リスクを下げ、開封後の保存性向上に応用できると考えられる。

学会発表・論文リスト

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