ジャムなどの加工に適したイチゴの新品種「夢つづき」を開発

2015.08.25

アヲハタ株式会社(本社:広島県竹原市、代表取締役社長:野澤栄一。以下、「アヲハタ」)は国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(本部:茨城県つくば市、理事長:井邊 時雄。以下「農研機構」)と共同で、ジャムなどの加工に適した新品種のイチゴ「夢つづき」を開発しました。平成27年1月21日に品種登録出願をおこない、7月3日に農林水産省から出願公表されました。

1.新品種育成の経緯

現在、イチゴは、加工食品業界においてジャムやフルーツソースなど、さまざまな形態で利用されており、そのニーズは拡大し、また多様化しています。しかしながら、国内においては生食用イチゴの品種改良は盛んにおこなわれている一方で、加工に特化したイチゴの品種開発の取り組みはほとんどおこなわれていませんでした。

そのような背景の中、ジャムをはじめとするフルーツ加工の領域の拡大を目指すアヲハタは、2008年より、農研機構九州沖縄農業研究センターと共同で、主力原料であるイチゴの新品種開発の取り組みを開始しました。そしてこのたび、ジャムやフルーツプレパレーション(フルーツ調製品)などの加工用途に適しており、なおかつ「収量が多く病気に強い」「栽培が容易」「収穫作業の省力化が可能」などの特性を有するイチゴ新品種「夢つづき」を開発しました。

2.特性

新品種「夢つづき」をジャムに加工して、アヲハタの社内パネリストによる官能評価をおこなった結果、甘い香りとすっきりした味が特徴的でバランスがよく、果肉感がある(粒残りがよい)など、高い加工適性を有しています。

また、「夢つづき」は、国内で栽培される加工用イチゴに比較して、以下の特性を有します。
⑴果房(注1)が長く、大果で果実が見つけやすく収穫時の作業性に優れる。
⑵大果(注2)で果実が硬く、取り扱いが容易で高い収量性を示す。
⑶炭疽病(注3)に抵抗性を有し、育苗し易い。

3.名前の由来

品種名は、アヲハタの社内公募をおこない選考により決定しました。
「夢つづき」という品種名には、「フルーツのアヲハタ」を目指すアヲハタにおいて、イチゴの新品種開発は「夢」の第一歩であるという思いが込められています。

4.今後の予定

現在、国内の一部産地で試験栽培がおこなわれています。今後、これらの地域で品種更新を進めるとともに、将来的には加工用イチゴ原料の安定供給に活用していく予定です(注4)。

アヲハタは、イチゴをはじめとするフルーツの持つ美味しさ、栄養、機能、香り、色彩などの魅力を様々な角度から提供することで、日々の食卓の豊かさと潤い、健康に貢献し続けてまいります。

(注1) 果房:花(果実)が集まって房になった状態
(注2) 大果:一般的な加工用品種と比較して大粒
(注3) 炭疽病:イチゴの主な病害であり、株の立枯れまたは葉枯れを起こすものがある。
(注4) 本品種は、アヲハタ株式会社が10ヵ年の独占利用権を有する旨の契約を締結した。

「夢つづき」株
「夢つづき」果実・断面
「夢つづき」を加工したジャム