ジャムの起源

ジャムのはじまり

今から1万~1万5千年前、旧石器時代後期の人類が、みつばちの巣から蜜を取り、蜜を使って果実を煮たことが、現在のジャムの起源であるとされています。ジャムは、はるか昔から人類とともにあった最古の保存食品なのかもしれません。その後のジャムは、紀元前320年頃、かのアレクサンダー大王が東征したインドで当時貴重だった砂糖を手に入れ、本国に持ち帰り、ジャムを作って珍重したとの記録があります。ジャムが一般的に広まり始めたのは、さらに時代を下ってから。十字軍がオリエント遠征(1096~1270年)で大量の砂糖を持ち帰ったことがきっかけとなりました。

ジャムの語源

JAMの語源は、英語の古い方言"CHAM"と言われています。すでに使われなくなっているこの方言の意味は、「ぐちゃぐちゃ噛む」。現在、JAMを英和辞典で引いてみると、その意味は「押しつぶす」「詰め込む」とあります。やはりJAMには、昔も今も、よくそしゃくされたもの、詰め込まれたもの、という意味が込められているようです。

食品としてのジャムも、その意味の通り、消化がよく、おいしさと栄養がたっぷり詰め込まれています。一方、マーマレードは、ポルトガルで最初に作られたジャムの原料がマルメロ(ポルトガル語でかりん)だったことから、これが転じて「マーマレード」になったと言われています。

ジャムの起源

日本における最初のジャムは、16世紀後半に宣教師によってもたらされたと考えられています。

国内での製造記録は、今から1世紀以上前の明治10年、東京の新宿にあった勧農局でのイチゴジャム試売にはじまります。その後、明治14年に長野県で缶詰のイチゴジャムが販売されています。

明治38~39年に執筆された、夏目漱石の「吾輩は猫である」の一節には、苦沙弥先生が"おれはジャムは毎日舐めるが・・・"とジャムにふれたくだりがあります。庶民にはまだまだ一般的ではなかったものの、ジャムが西洋文化の味として、一般に認識され始めた様子がうかがえます。

昭和に入ると、イギリス留学から帰国した相馬正胤氏が東京の西落合に相馬果実缶詰研究所を設立し、英国風のジャムやマーマレードの生産を開始しています。昭和10年頃になると広島では、旗道園(のちのアヲハタ株式会社)がイチゴジャムとマーマレードを製造。山口県萩の風月堂とならび、イギリス式に比べて甘味の多い、日本人好みのマーマレードを売り出しています。この頃から、ジャムは一般に広く普及し、都市部と原料産地の両方で製造されるようになりました。

【創業当時のオレンジママレード】

戦後は、学校給食のパン食でジャムに親しむ機会が増えたこと、洋風化志向となったことなどによって一段と需要が高まりました。